▲ 閱讀下文，回答第 40 - 42題
        小学校ができて初めての運動会に、私は招待をされました。知り合いの父兄もいませんし、もちろん子供も誰も知りませんから、① つまらないだろうと思いました。やっぱり予想していたとおり、私にとっては退屈な運動会でした。プログラムを眺めながら、あと何種目で終わるな、などと考えていました。午後のプログラムが開始されようとしたとき、急に激しい雨が降り始めました。父兄や生徒は一斉に教室に避難を始め、空を恨めしそうに眺めている。ますます雨は激しくなり、一向に止みそうにありません。さすがに中止になるだろうと思っていたら、校長先生が「最後の種目であるリレーだけやりましょう」と言ったのです。やはり②リレーは運動会の花形なのか、子供たちも大喜びです。
         一年生から順番に、雨の中のリレーが始まりました。四年、五年と進行するうちに、雨はますます強くなってきた。新しい学校なので、運動場も完全に整備されておらず、土はどろどろです。一番でバトンをもらった子が、足を滑らせて転ぶ。何人にも追い抜かれていく。悔し涙を流しながら、それでも起き上がって一生懸命に次の走者にバトンを渡そうとする。
         子供たちが一生懸命に走っている。転びながらも泥だらけになって走っている。ただその姿を見ているだけで、私は大きな感動を覚えました。周りの父兄たちも、感動で涙を浮かべながら応援をしている。私にとっては退屈だった運動会が、見る見るとても素晴らしくなったのです。 (引用自『人生の半分はことば 言葉』山田太一「言葉の力」所収)
【題組】40. 下線部①とありますが、どうしてですか。
(A) 知っている人が運動会にいませんから。
(B) プログラムを作らされましたから。
(C) 学校側に招待されましたから。
(D) 雨が降りそうですから。