問題詳情

(3)消して費やしてしまう、使って無くしてしまう――どうも消費という言葉のイメージは前向きではないですね。消費者という言葉も、そう。生産者と対比して、消極的イメージがつきまとう。消費者という言葉は、経済用語のなかでもっとも不適切な一つだと私は思います。行為の中身からひどくズレています。消費と呼ばれている行為は、その中身から言えば、生きていくのに必要なものを使うことですね。私たちは衣食住その他に、さまざまなものを使います。しかし、そのことを「消費」と呼ぶのは正しいか。正しくないと、言うべきです。なぜなら、人は食べ物を食べることによって、自分の身体を生産しているのです。なるほど、食べ物の形は消えてしまいます。しかし、それは私たちの生命としてよみがえっているのです。衣服を身につけることはどうか。それは体温を維持させることによって命をつくり出すだけでなく、他人にあたえる私たちの印象を生産しています。このように、消費と呼ばれている行為は、私たちの命と生活を、そして次の世代の人間を生産する行為です。それなのにそれを消費者と呼ぶのは、物の生産者の側から見た言い方にすぎません。
                   (岸本重陳『経済のしくみ100話』による)
【題組】56 行為の中身からひどくズレていますとあるが、筆者は行為の中身をどのように説明しているか。
(A) 生産者の立場に立って経済を支えること
(B) ものを使うことで、何かをつくり出すこと
(C) 生産的な活動に従事して一日を終えること
(D) ものを使って、その形を消してしまうこと

參考答案

答案:B
難度:適中0.484536
統計:A(16),B(47),C(9),D(21),E(0)